はくろ
陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也(暦便覧)
野には薄の穂が顔を出し、秋の趣がひとしお感じられる頃。
朝夕の心地よい涼風に、幾分の肌寒さを感じさせる冷風が混じり始める。
天文学的には太陽黄経が165度のときで9月8日ごろで、 朝夕の気温も涼しくなり、草木に白い露が宿るようになります。日中の気温はまだ高い日もありますが、ゆっくりと秋が近づいたことが感じられるようになる頃です。
虫の音が、秋の夜長を一層快いものにしてくれます。
草露白(くさのつゆしろし)
初候 |9月8日~9月12日ごろ
季節は仲秋。
草に降りた露が白く光るころ。
朝夕の気温も下がり夏から秋への変わり目です。
9月9日は、五節句のひとつ「重陽の節句」です。菊を用いて不老長寿を願うことから別名「菊の節句」と云われています。
中国の宣明暦では「鴻雁来(こうがん きたる) 」と呼ばれ、「雁が飛来し始める」ころといいます。
鶺鴒鳴(せきれいなく)
次候 | 9月13日~9月17日ごろ
季節は仲秋。
鶺鴒(セキレイ)が鳴き始める頃。
鶺鴒は、スズメ目セキレイ科の鳥。水辺でみられ、スズメより大形で、尾が長く上下に振る習性があるそうです。
日本書紀には、日本神話の国産みの伝承の一つとして、イザナギとイザナミが性交の仕方が分からなかったところにセキレイが現れ、セキレイが尾を上下に振る動作を見て仕方を知ったという記述があるそうです。 婚礼の調度に鶺鴒台があるのはそれに由来するそうです。
中国の宣明暦では「玄鳥帰(げんちょう かえる)」と呼ばれ、「燕が南へ帰って行く」ころといっています。
玄鳥去(つばめさる)
末候 | 9月18日~9月22日ごろ
季節は仲秋。
燕が南へ帰って行く頃。
春に日本へやってきたツバメが、暖かい南の地域へと帰っていく頃です。日本に於いては水稲栽培において穀物を食べず害虫を食べてくれる益鳥として古くから大切に扱われてきた。
9月20日は彼岸の入り。秋分を中日とし、前後各3日を合わせた各7日間が秋の彼岸です。この期間に行う仏事を彼岸会(ひがんえ)と呼びます。
中国の宣明暦では「羣鳥養羞(ぐんちょう しゅうを やしなう)」と呼ばれ 、「 多くの鳥が食べ物を蓄える」ころといってます。