しゅんぶん
日天の中を行て昼夜等分の時也(暦便覧)
この日をはさんで前後7日間が彼岸。
花冷えや寒の戻りがあるので暖かいと行っても油断は禁物。
昼夜の長さがほぼ同じ頃であり、この後は昼の時間が長くなって行く。
天文学的には、太陽が春分点を通過した瞬間、すなわち太陽黄経が0度となったときをいいます。春分では太陽は赤道上にあるため、天文的な位置関係からは昼夜の長さが等しくなるように思える。しかし実際には、昼の方が夜よりも長い。日本付近では、年により差があり、平均すれば昼が夜よりも約14分長いそうです。
昔の人はこの日を「自然に感謝し春を祝福する日」だと感じていました。それは冬眠をしていた生物が動き初め、人の生活にも新しい希望と活力がもたらされる時期だからです。またこの日の前後に、家族でご先祖様のお墓参りに行く習慣もあります。これを彼岸といます。彼岸は春と秋との2回あり、春分・秋分の日を中日(ちゅうにち)とし、前後3日を合わせた7日間をいいます。ご先祖さまや自然に感謝をささげる仏道精進の期間で日本独自の仏教行事です。
雀始巣(すずめはじめてすくう)
初候 3月21日~3月25日ごろ
季節は仲春。
雀が巣を構え始める。
雀が巣づくりを始める頃です。雀は、俳句や民謡、童謡などにも多く登場する、日本人にとっては身近な鳥。しかし近年では、家屋の形態の変化などによって数が減少しているそうです。この時期、雀が隠れるほどに草がのびることを「雀隠れ」といいます。
中国の宣明暦では「玄鳥至」と呼ばれ、「燕が南からやって来る」といった意味です。
桜始開(さくらはじめてひらく)
次候 3月26日~3月30日ごろ
季節は仲春。
桜の花が咲き始める 。
桜が咲き始め、本格的な春の到来の頃です。日本人にとっては親しみ深い桜。平安時代からこちら、「花」といえば桜を表しました。「世の中に たえて桜のなかりせば 春の心は のどけからまし」(在原業平)
もし桜の花がなかったら、桜が咲いたの咲かないのと、こころ騒がせることもなく、のんびりした気持ちでいられたろうに、というのです。
昔も今も、桜前線にこころ騒がし、春華やぐ季節ですね。
中国の宣明暦では「雷乃発声」と呼ばれ、「遠くで雷の音がし始める」といった意味です。
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)
末候 | 3月31日~4月4日ごろ
季節は仲春。
遠くで雷の音がし始める 。
春に鳴る雷を「春雷しゅんらい」と呼びます。雷と言っても、恐れられることはなく、恵みの雨を呼ぶものとして喜ばれました。
中国の宣明暦では「始雷」と呼ばれ、「稲光が初めて光る」といった意味です。