
易の64卦63番はジタバタするなの水火既済(すいかきぜい)。
四爻は「繻(も)るに衣袍(いじょう)あり。終日戒(しゅうじついまし)む」。
父祖の代かともかく最盛期に作った立派な舟があるとします。
年月がたてばいくらしっかり作った船だとしてもあちこち傷ついてくるはず。
この船で河を渡っている間は、ずっと警戒をおこたりません。
目立たないことですが、こういう気遣いができる人間、つまり縁んの下力持ちのような性格の人が、既済(きせい)のときは一番大事なのです。
世の中が安定して平和が続くときこそ、人の心の油断とともに小さなほころびが芽生えてくるのです。
それを慎重に見つめ自分自身を引き締めてゆくことも、忘れてはいけないのです。