
黄帝内経 53.刺志論篇(ししろん)その2。
身が寒えるような病気の原因は傷寒だと記されている。
身体表の働き「衛気(えき):免疫のように身体の機能を守る」が弱ったところへ寒邪が侵入。
悪寒がする。
身体は、この寒邪を追い出そうと頑張る。
その結果脈は弱くなる。
そのうち・・・発熱。
この状態を「気盛んにして身寒」と言う。
熱病の初期は大部分はこのような状態。
気が少ないと身体は冷えるはず、ところが・・・逆に熱く感じるのだから病気。
何かが起きていると読み取るのです。
原因は傷暑(しょうしょ)だと記されている。
夏は汗を出して体温を調整する。
古典医学で言えば、陽気(熱気)を発熱したら、陰気(寒気)を多くして、
身体を涼の状態にしようとする。
この場合、脈が弱くなって気が虚しているのにもかかわらず発汗しています。
それなのに身体が熱く感じる。
現代の日射病の類。
熱いからと言って冷やしてはいけない。
気が虚しているのだから、元気を増すような治療が必要。
穀入ること多くして気少なし、これを反と言うなり。
穀入らずして気多し、これを反と言う。
穀入ること多くして気少なき者は、これを脱血(だっき:大量出血)するところありて、湿、下におるに得たり。
穀入ること少なくして気多き者は、邪は胃と肺にあり。
食欲は正常ですが、脈が弱く元気のない人がいる。
これは出産などで血が少なくなり、なおかつ下半身に湿(水分)があるからだという。
確かに産後の人に多くみられます。
肝経と腎経が虚しているはずです。
出産後または流産後などで食欲は正常。
だが疲れやすくなる。
下半身に湿があるために帯下が多い。
軟便になりやすい。
腰や足がだるいなどの症状がでる。
食欲がないのに、脈には力がある人がいる。
これは胃と肺に邪気が充満しているからと記されている。
肺も胃も気の多いところです。
その気がうっ滞しているから、脈は力強く感じられても食欲はないのです。
脈小にして血多き者は、飲みて熱にあてらるなり。
気は少ないのに血が多い者は、体内に湿が多いうえに熱が加わったため。
湿が多いと脈は沈む。熱があると滑(なめらか)、又は実の脈になる。
これを湿熱の病という。
慢性のリウマチや肝硬変、慢性の腎炎やネフローゼの人に多くみられる状態です。
脈大にして血少なき者は、脈に風気あり水さえ飲めない。
脈が大きくなっているのは、脈に風気が侵入したからだ。
血少なし、とありますから、脈は大きいだけで、按圧すると力はないはず。
そうして、飲み物を飲んでも胃につかえたり、重症の時は燕下(えんか)できない。
※嚥下とは、口の中の物を胃に送れないこと。
以上のように、脈、体格、食欲などにより、気血の虚実を区別する。
そして、不調和を調整するのが治療です。
全身の虚実の不調和が強いほど重症となる。
岐伯先生は最後に「それ実する者は気入るなり、虚する者は気いずるなり」
気実する者は熱なり、気虚するものは寒なり。
難しくって・・・・分かりにくいけど、一つだけ現代の医学に頼るよりいいなと思えるのは、
知識を得る事で、家族がともに病気に立ち向かえるのではないかと言う事。
現代の医療だったら、医者に任せるだけで・・・・共有してあげれない辛さがある。
痛さの共感はできないけど、虚実や寒熱・・・・諸々をちょっとしるだけで、
背中やお腹をさすってあげられる気がする(笑)