
黄帝内径 42番目は.風論篇(ふうろん)
風にあてられて生じる病について説明してくれている。
古典医学では、外界の風、寒、暑、湿などの刺激によって、病気になると考えます。
足腰が冷えるといえば「寒が原因」
関節の浮腫があれば「湿が原因」
なんて、感じですが・・・風が原因の病気は分かりにくい。
風邪ぐらいしか浮かばない。
古典医学の分析方法はちょっと面白い。
「寒、暑、湿」は身体が言う言葉であり、「風」は自然現象。
風が原因とされる病気の束を「風」という分類にしたのです(笑)
この定義が面白いね。
風が原因となる病気には、風が侵入する場所によって病症が異なる。
また、同じ場所であっても「相反」する病症が現れたりする時もある。
この場合は、体質(気血)が大きく原因とすることになります。
①皮膚に侵入した時。
・毛穴が閉じるので中で熱がこもる。熱によって煩悶(はんもん)する。
熱によって、どんどん痩せてくる。
・毛穴が開き放しになることもある。
悪寒が強い。
食欲がなくなる。
これらの病症は風邪の初期に現れる。
②陽明胃経に侵入した時。
・気血の多い人(強い体質)は風邪が侵入すると熱を出す。
経脈の中に熱がこもるので、胃経の通っている目が黄色になる。
・気血の少ない人(虚弱体質)は風によって陽気を取られる。
身体が冷えきってしまう。
目から涙が出る。
熱が多い時は食欲異常亢進し、口渇します。
冷える時は食欲不振となり、元気もなくなる。
③栄衛と風がぶつかった時。
衛気とぶつかると、その経脈が不通となり、肌肉が固くなり麻痺を起こす。
栄気とぶつかると熱が出る。肌肉に潰瘍(かいよう)が出来る。
※潰瘍(かいよう:皮膚・粘膜・角膜などにできる、深部にまで及ぶ組織の欠損)
諸々の知覚麻痺(ちかくまひ)は風に侵入されて、衛気がめぐらなくなり起こる。
・衛気は陽気で活動力の別名。
それが停滞したから麻痺になる。
衛気は身体の体表面にある。
・栄気は陰気で活動力はない。
身体の深いところにある。
深いところに熱が生じると瘍膿 (ようのう)を作る。
瘍膿 (ようのう)は全て風が原因となる。
※瘍膿 (ようのう)というのは身体の内部にできる炎症、癌も入るらしい。
④風が腑に侵入した時。
左右どちらの半身不随を起こす。
これが俗に言う卒中です。
多くは血圧に関係する。
・血栓(けっせん)による不随は、早く除去すると一番直りやすい。
・血栓が心臓にいく恐れがある、早く直るのは要注意となる。
・脳軟化症(のうなんかしょう)の不随が一番難しい。
※脳軟化症(のうなんかしょう)とは、脳を栄養する動脈の閉塞
不随の場合は、電気治療、マッサージ、針治療をあわせて行う。
ポイントは半年間治療して効果のないものは駄目。
⑤臓に風が入った場合。
・肺風は多汗。風にあたるとゾーとする。顔色白色。時々咳をし、息苦しくなる。
夜になると症状が激しくなる。眉の上が白色になる。
・心風は汗が多く、風にあたるとゾーとする。唇が乾燥して皮がかさかさになる。
イライラしてカーとのぼせる。怒って顔が赤くなる。症状がひどいと言語障害がある。
唇も顔色もとても赤くなる。
・肝風は汗が多く、風にあたるとゾーとする。気分が滅入り怒ったりする。のどが乾く。
顔色が蒼くなる。特に目の下が青くなる。性欲がなくなる。
・脾風は汗が多く、風にあたるとゾーっとする。身体や手足が重たくだるい。
顔色が悪く特に鼻先が黄色になる。食欲がない。
・腎風は汗が多く、風にあたるとゾーとする。顔面がむくんだ感じになる。
背骨が痛んで長く立っていられない。顔や身体がすすけたような黒色になる。
小便がでなかったり、反対に多く出たりする。精力がなくなる。
追加で胃風は首だけに汗が出る。
風にあたるとゾーとする。食欲なくなり便秘して腹が張る。または、冷飲食により下痢をする。
以上が臓腑に風邪が侵入した時の病症です。
風があたると全て「ゾー」とするのは、毛穴が開きっぱなしで汗が出ている為で『悪寒』といいます。
風邪の病症に気をつけて周囲や過去の自分の病症と合わせてみると・・・・
心当たりありますよね。
治療して汗が止まったら良しとするとの事。
なんとなく・・・・納得です(笑)